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昇給や初任給アップをするときの他社員の給料とのバランスの取り方

最近、大手企業を中心に昇給や初任給アップのニュースを耳にします。

中小企業の立場としても、よりよい人材確保のため初任給のアップをしたいと考えています。
どの位の昇給にしようかと考えるときに2~3年目社員との報酬差が気になって思うように設定できません。

既存社員にも長く勤めてもらいたいですし、社員全員が納得する良い方法があれば教えてください。

大手企業との人材獲得競争を勝ち抜くために初任給アップは欠かせませんが、そのことは新入社員以外の給与にも影響を与えることを考慮しなければなりません。

 

小手先で対応すると先輩社員との逆転現象やひいては中堅社員・管理職層との報酬バランスが大きく崩れ、いざ修正をしようとしても簡単にはいかなくなってしまいます。極端な場合、上司と部下の水準が逆転するようなことが起こり、従業員のモティベーションダウンを引き起こす懸念さえあります。

 

初任給アップについても安易に行うと、少なくとも入社2~3年目の社員との報酬差がなくなるか、場合によっては逆転が起こりえます。個人業績による逆転なら良いのですが、初任給のアップの場合はそうではなく、何らかの対策が必要となります。

 

さしあたりの対応方向としては、入社2~3年目の若年層の昇給率を補正して差を設けることが必要となりますが、結果として若手と主任等の中堅層との差が縮まる等、中長期的に全社の報酬水準をどうするのかという問題に直面します。

 

そこで、まず全社員の報酬水準がどのような状況になっているのか、把握・分析することが必要になります。横軸に年齢または勤続年数、縦軸に報酬額を置き、グラフ化するとイメージしやすくなります。また、業種の報酬水準(※)と比して、自社がどのような水準にあるのか把握することも重要です。

※厚生労働省が公表している「労働統計要覧」が参考になります。

労働統計要覧(E 賃金)|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

 

もし、分析の結果全体の水準を改善することが必要となった場合、何年ぐらいかけてどれくらいの水準を目指すのか、会社の負担能力も勘案しながら計画的に進めましょう。また、月々の給与と賞与の割合や、報酬アップの根拠とする人事評価制度の確立にも取り組みたいところです。

 

間違えのない昇給制度や人事評価制度を作成する際には、専門知識や経験の豊富な社労士への相談が成功への近道です。その点、社労士にご用命いただくと、専門的見地から、まずは現在の全社の賃金カープをグラフ化等によりイメージしやすくします。

 

そのうえで、どの層の賃金アップを強化しなければいけないか、業界水準との対比も行いつつ対策の具体化を図ることができます。また、昇給に対する従業員の納得性を確保するため、評価制度の導入等の要望にもお応えすることができます。

 

企業にとって社員の昇給は、一度上げると業績が下がってもなかなか給料を下げることはできず、世の中の昇給圧力がある中でもとても大きな難しい決断です。
また全体のバランスを考慮した昇給や人事評価制度の確立などは、長期にわたって採用や従業員のみならず、会社の経営にも影響を及ぼす重要な要素です。

少しでも疑問や不安があれば、お気軽にお問い合わせください。

 

参照元:https://www.mhlw.go.jp/toukei/youran/indexyr_e.html

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