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パート・アルバイト・契約社員から正社員に転換する義務ー無期転換ルールについて

パート・アルバイトを一定期間契約更新しながら雇用していますが、一定の要件に当てはまると正社員に転換しなければならないと聞きました。

具体的にどのようなルールなのか教えてください。

一般にパート・アルバイト・契約社員等と呼ばれる期間を定めて働く従業員(有期契約労働者)について一定の要件を満たした場合、一般に正社員と呼ばれる期間を定めずに働く労働契約に転換することが義務付けられています。

各社におかれましては、有期契約労働者の勤続年数等の管理を怠りなく実施し、漏れのない雇用管理を実施いただきたいと存じます。

 

無期転換ルールとは(労働契約法第18条)

有期労働契約で働く方は全国で約1,560 万人いるとされており(総務省「平成29年労働力調査」)、また、別の調査では、有期労働契約で働く方の約3割が通算5年を超えて有期労働契約を更新している実態にあるとされています(厚生労働省「平成23年有期労働契約に関する実態調査報告書」。)

有期労働契約で働く方については、雇止めの不安の解消、処遇の改善が課題となっていることから、有期契約労働者の無期契約化を図り、雇用を安定化させる目的で、平成25年(2013年)4月1日に改正労働契約法が施行されました。

 

無期転換ルールは、同一の使用者(企業)との間で、有期労働契約が通算5年を超えて更新された場合、有期契約労働者(契約社員、アルバイトなど)からの申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換されるルールのことです。

 

 

なお、無期転換ルールは、企業規模にかかわらず全ての企業が対象となっています。

 

求められる企業の対応

平成25(2013)年4月1日に改正労働契約法が施行され、無期転換ルールにより、有期労働契約が通算5年を超えて更新された場合、有期契約労働者(以下、「有期社員」とします)の申込みにより、 期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換されることとなります。もし、無期転換を前提とした就業規則や社内制度の定めがない場合には早急に対応が必要です。

 

今日、有期社員の約3割が、通算5年を超えて契約を更新している実態にあります。つまり、多くの会社にとって、有期社員が会社の事業運営に不可欠で恒常的な労働力である傾向が見られます。

特に長期間雇用されている有期社員は、例えば、仮に「1年契約」で働いていたとしても、実質的には会社の事業運営に不可欠で恒常的な労働力であることが多いと言えます。

 

無期転換ルールにより、このような有期社員を期間の定めのない労働契約の社員とすることは、むしろ自然なことであり、実態と形式を合わせる措置といえます。このように、無期転換ルールは、より適切な雇用関係にしていくための制度なのです。

 

導入の流れ

平成30(2018)年4月1日から、有期社員の無期転換申込権が本格的に発生しているため、就業規則や社内制度等の検討・整備等が進んでいない企業につきましては早急な対応が必要です。

 

①社内における有期社員の就労実態を把握しましょう。雇用している有期社員の人数、更新回数、勤続年数、担当業務の内容などを整理してください。

 

②有期社員を無期転換後、どのような社員として位置づけるかなど人材活用を戦略的に行うため、無期転換ルールへの対応の方向性を検討しましょう。有期社員が無期転換した場合、転換後の雇用区分に応じ、従来の「正社員」との異同を明確にしておかないと、トラブルが発生するおそれがあります。いずれの対応を取る際にも、あらかじめ労使の間で、担当する業務や処遇などの労働条件を十分に確認することが重要です。

 

③無期転換後の労働条件をどのように設定するか検討し、就業規則等を整備しましょう。大きくは、無期転換社員(有期労働契約時と同じ労働条件で、契約期間が無期)、多様な正社員(職務限定社員、エリア社員、短時間正社員など)、正社員の3タイプです。

 

④無期転換をスムーズに進める上で大切なのは、制度の設計段階から、労使のコミュニケ―ションを密に取ることです。労使双方が納得できる制度を構築するために、丁寧な説明を心がけるとともに、円滑に無期転換制度が運用されているかを把握し、必要に応じて改善を行うことが望まれます。

 

無期転換ルールの特例

専門知識等を有する有期労働者や研究開発職等については、特例が設けられています。
【厚労省】有期契約労働者の無期転換ポータルサイト「無期転換ルールの特例」
参照URLをご覧ください。

 

ここまで述べてきました通り無期転換ルールの漏れのない運用のためには、会社の人事
諸制度の見直しが必要になります。

 

具体的に何にどのように取り組めばよいか
特例が適用されるのか
などといったお悩みがありましたら当法人にご相談ください。

 

参照元:https://muki.mhlw.go.jp/business/info/

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