社員を採用するときの知識-派遣と請負の違い

正社員がなかなか採用できないので派遣や請負で人材を確保したいと考えています。
「派遣」と「請負」はどう違うのか教えてください。

社員を直接雇用するのにくらべ比較的手軽であることから、最近では派遣社員を活用する会社が増えていますが、混同されやすい契約形態として「請負」があります。その違いを理解することは、派遣社員を受け入れに際してのトラブル回避にもつながります。
本稿ではその違いについて取り上げます。

 

■労働者派遣と請負の違い
(参照元の労働者派遣・請負を適正に行うためのガイド(厚生労働省)から一部引用しています)

 

労働者派遣と請負とでは、労働者の安全衛生の確保、労働時間管理等に関して、雇用主(派遣元事業主、請負事業者)、派遣先、注文主が負うべき責任が異なっています。(下記参照)

このため、労働者派遣か請負かを明確にし、それに応じた安全衛生対策や労働時間管理の適正化を図ることが必要です。
労働者派遣事業、請負のいずれに該当するかは、契約形式ではなく、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(※1)に基づき、実態に即して判断されるものです。

 

「実態に即して判断される」ということは、当事者がたとえ「請負契約」を締結していたとしても、当該従業員の勤務実態が「派遣」とみなし得る状態であれば、「派遣契約」に則った法対応が求められるのはもちろんのこと、いわゆる「偽装請負」(※2)となり違法性が指摘される恐れがありますので注意が必要です。

両者の違いを図に示すと以下の通りとなります。

 

<労働者派遣>

 

 

<請負>

 

両社の違いは、勤務先の事業主が当該労働者に指揮命令を行いつつ労働に就かせる場合は「派遣」、指揮命令関係が生じない場合には「請負」となります。
具体的には、勤務先事業主が出退勤時刻を指定して出勤簿を付けさせる等の勤務管理を行ったり、業務について詳細指示を行う場合には「派遣」としなければなりません。

 

(注釈)
※1 昭和六十一年四月十七日労働省告示第三十七号
改正平成二十四年九月二十七日厚生労働省告示第五百十八号

 

※2 一般的に偽装請負は、以下の2種類のパターンを指して言われることがあります。
①実態として、労働者派遣事業であると判断されるもの(労働者派遣法に違反)
②形式的には請負業者と雇用契約がない個人事業主に再委託されている場合であっても、その実態から当該個人事業主が労働基準法上の労働者であると判断される等、契約の形式と不一致があるもの

 

派遣社員の採用や請負契約について個別のアドバイスが必要な場合は、お気軽にお問い合わせください。

 

参照元:https://www.mhlw.go.jp/content/000852717.pdf

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