経営者や役員は労災保険に加入できますか?

弊社は中小企業のため、経営者や役員は経営や事務仕事だけでなく、繁忙期には従業員と一緒に倉庫内で作業をすることがあります。

 

業務中のケガが心配なのですが、労災保険には経営者や役員でも加入できますか?

加入できる場合は、条件や手続きなどはどのようなりますか?

労災保険の保護対象は労働者であるため、労働者性のない会社の社長や役員、自営業者の方は適用対象外です。
ただし、そういった方でも現実には労働者と同様に事故の危険のある業務に従事される場合があるため、特別に労災保険の対象となることができる「特別加入制度」が設けられています。

 

労災保険の特別加入制度には、次の5つの制度があります。

 

・中小企業の経営者や役員を対象とした「中小事業主の特別加入」
・一定の業種に携わる自営業者を対象とした「一人親方の特別加入」
・特定業務に従事する者を対象とした「特定作業従事者の特別加入」
・海外に派遣された者を対象とする「海外派遣者の特別加入」
・「農業者のための特別加入」

 

「中小企業主の特別加入」を例にとりますと、社長や役員が特別加入を行うためには、雇用している労働者について労働保険関係が成立していることに加え、「労働保険事務組合」に労働保険事務を委託する必要があります。

 

ここで是非ご留意いただきたいのは、中小企業の社長や役員が特別加入せずに業務災害でケガを負った場合、お手元の協会けんぽや健保組合の「健康保険証」も使うことができません。
これら健康保険の適用対象は「業務外」に限られているため、結果的に病院の費用については100%自己負担しなければならなくなります。

 

その点、特別加入しておけば労働者と同様に労災保険から保険給付を受けることができます。

 

「中小企業主」加入の際は、ケガ等の治療により仕事を休んだ際の所得補償である休業補償給付等の額の基礎となる給付基礎日額(3,500円~25,000円)を特別加入者の希望する額に基づいて決定し、業種に応じて定められた労災保険率を用いて保険料を計算します。
よって、ご自身の事情に合った保険料額に設定することができます。

 

ただし、最低額の給付基礎日額を選択した場合であっても、治療にかかる病院の費用については原則100%の保険給付が受けられますので、安い保険料設定で加入するだけでも意義はあります。

 

個別の事情などを考慮して実情に沿ったアドバイスが必要な場合は、当法人でもご相談を承っています。
お気軽にご相談ください。

 

 

参照元:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousai/kanyu.html

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